さとっちゃん菜園です。
丹波黒大粒大豆つまり黒豆の収穫を増やす栽培方法と育て方です。
黒豆と同じように大豆・エダマメでも同じ方法が可能です。
前編は緑化・断根・摘芯の手順を説明します。
後編は定植から収穫です。
もくじ
驚きの緑化・断根・摘芯
植物を栽培している人にとって、こんな事やっちゃダメだよという方法です。
先に言葉を説明しておきます。
- 緑化:発芽してまだ地中にある豆を日光浴させて葉緑素を活性化
- 断根:発芽した根を全て切り取り、根が無い状態にする
- 摘芯:双葉の後に最初に出てくる本葉(初生葉)を切り取る
植物にとっては余りに過酷な状況であり、枯れるのは確実です。
しかし、大豆や黒豆では収穫量を増大させる栽培方法・育て方なのです。
黒豆・大豆のタネを準備します
タキイ種苗のタネを選定
今回用意するタネは、タキイ種苗の丹波黒大粒大豆です。
前年はネット通販の無名な販売店から購入したのですが、アズキのような小粒ばかりの収穫になり残念でしたので、有名な種苗会社のタネを購入する事をお勧めします。
■タネ選びは収穫に大きな影響を及ぼすので、大手のタネを購入しましょう。
タキイ種苗の丹波黒大粒大豆のタネ袋です。
中身は同じで容量が異なる1dl(=100ml)と35mlの2つを購入しています。
パッケージの左が1dl(=100ml)、右が35mlです。
パッケージの背面です。
パッケージ(タネ袋)は何粒入りなのかな?
内容量をdlやmlの体積で言われても、何粒入っているのかが分かりません。
ですから、実際に何粒なのか数えてみます。
1dl(=100ml)のパッケージです。
103粒入っていました。
35mlのパッケージです。
38粒入っていました。
3粒が予備だと考えると、1dlパッケージでは100本、35mlパッケージでは35本の栽培ができることになります。
黒豆のタネ蒔きします
種蒔きする用土
種蒔き専用の用土ではなく、園芸用の安価な培養土で大丈夫です。
発芽後にポリポットに植え替えするので、密にタネ蒔きすることで、培養土の使用量が減らせます。
何粒のタネ蒔きをすればいいでしょうか?
今回は24本の黒豆を定植して栽培する計画です。
タネの数は 1dl(100ml)+35ml = 103粒+38粒 = 141粒あります。
緑化断根摘芯の苗が何本成功するのか判断できないで、保険の意味も含めて約2倍の50粒を蒔くことにします。
仮に、緑化断根摘芯が失敗して50粒が全滅しても、91粒が残るので、3~4粒を24箇所に直蒔きで蒔き直すには十分です。
■実際には、何粒を蒔けば緑化断根摘芯の苗が何本できるのかは後述します。
タネ蒔きする苗箱(容器)準備
苗箱かトレーなどを用意します。
今回は手持ちの小型苗箱を使用しますが、大き過ぎるのでレンガで仕切っています。
タネ蒔き
培養土を3cm程度の深さに入れます。
2~2.5cm四方で黒豆を並べていきます。
この間隔が有れば発芽後の軸の切り取り作業がやり易くなります。
2cm程度を覆土すると、黒豆の上に1cmの土が被ります。
緑化作業を簡単にするためにネットを置いてから覆土する方法がありますが、後述する方法だとネットは不要です。
手で土を軽く押し固めて、苗箱の底から水が出るまで注水します。
以降の水やりは控えます。
緑化します
6月頃の気温ならば4~5日で芽が出てきます。
大半の黒豆の土が盛り上がって子葉が少し見えてきたら、緑化のタイミングです。
苗箱を前後左右にやや強めに揺らしましょう。
子葉の全体が一気に露出してきますよ。
この状態で日光浴を半日したら、緑化完了です。
緑化を終えたら覆土します。2cm程度を覆土すると、黒豆の上に1cmの土が被ります。
手で土を軽く押し固めて、苗箱の底から水が出るまで注水します。
加湿による腐敗を防止するために、以降の水やりはしません。
本葉(初生葉)が出るまで待ちましょう
6月の日差しと気温でぐんぐん育ってきます。
本葉(初生葉)が出てきています。
苗箱の底まで根が伸びています。
苗を断根摘芯する時期
本葉(初生葉)展開時がタイミング
本葉(初生葉)が拡がり始めています。
断根摘芯の時期です。
この段階で、50粒を蒔いて4粒が発芽不良だったので、46本の緑化断根摘芯苗が作れます。
発芽不良は、芽が出なかったもの・子葉の1枚が脱落したもの・子葉が割れてしまったものなどです。
黒豆の発芽率はタネ袋の記載では75%以上です。
今回実績では、有効な苗になる確率は、46/50 = 92% は十分な値です。
苗を切り取り
本葉(初生葉)が展開してきた苗を切り取りましょう。
根張りしているので、軸を引っ張ると切れたり折れたりします。
必ず、剪定ハサミなどを地中に4cm程度差し込んで軸を切って抜き取ります。
2~2.5cm四方でタネ蒔きしておくと、切り取り作業が容易です。
この段階では、軸に根が残っていても問題ありません。
切り取った苗の水揚げ(みずあげ)
切り取った苗は、水を張ったバケツに漬けて水を吸い上げさせます。
まだ断根摘芯していないので、根と本葉(初生葉)があります。
軸の白い所は地中に埋まっていた部分になります。
苗を断根摘芯します
苗のポット植え準備
9cmのポリポットに培養土を入れ、棒などで2~3cmの深さの植え穴を空けておきます。
断根摘芯を実施
断根摘芯する前です。
軸の白い部分に横向きに出ている根のすぐ上を、カッターナイフでスパッと切り落として断根します。
本葉(初生葉)の付け根を、カッターナイフでスパッと切り落として摘芯します。
ポットへ植え付けします。
準備していたポリポットの植え穴に、断根摘芯を差し込んでいきます。
土を寄せて植え穴を塞ぎ、たっぷり水やりします。
以降は土の表面が乾いてきたら水やりします。
ポットへの植え付けが完了しました。
緑化断根摘芯苗の生育・成長
断根摘芯して3日経過
苗から新たに2本の芽が出てきています。
断根摘芯して5日経過
苗から2組の新たな芽が伸びて本葉が展開しています。
断根摘芯して6日経過
本葉の成長が極めて早いです。
植え付けた46本で、枯れた苗は一本もありません。
一方で、2組の芽が出ない苗と初期成長が遅い苗が3本ありました。
断根摘芯して10日経過
本葉が成長して込み合ってきたので、菜園への定植タイミングです。
何粒タネ蒔きすれば、緑化断根摘芯苗が何本できる?
50粒をタネ蒔きして、4本のタネ蒔き時の発芽不良・5本の断根摘芯不良があり、最終的に41本の緑化断根摘芯苗が生産できています。
緑化断根摘芯だけで見ると90%の確率なので、極めて成功率は高いと考えられます。
50粒をタネ蒔きすれば、結果として、約40本の苗ができるという事です。
これを目安にして、タネ蒔きの数を決めればいいでしょう。
緑化断根摘芯苗の根張りはどうなっている?
定植直前の苗の状態
サンプルとして2ポットを準備しました。
どちらのポットも2組の脇芽が伸びて、2段目の本葉が展開している状態です。
子葉は黄色くなって、脱落する直前です。
ポットから抜き取って土壌を取り除いてみます。
断根して根が全く無い状態からわずか10日で、凄い量が発根しています。
根張りの状態を詳細に見ましょう
土壌を洗い流して、根元を見てみます。
軸を切って断根しているので、真下に真っすぐ伸びる主根はありません。
軸を切った切り口付近から、放射状に大量の根が発生しています。
しっかりした根の本数は半端無いです。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。